兄弟を憎しみのあまり、心の中で殺した事ってありませんか?
 私はあります。めちゃくちゃあります。(苦笑)
 たぶん人生で一番最初に殺意を覚えたのが、彼なのではと。
 周りでも子供の頃の兄弟喧嘩に包丁が出ると言う話(もちろん刺してはないけど)を、結構聞きましたので、家によって兄弟喧嘩は熾烈を極めるものなのでございます。

 勝手にあたしの本読んだ!から始まって、テレビリモコンの奪い合い。そこから殴り合いにまで発展するんだからなー。
 しかも体格差的に負けている私は、両親にチクって報復すると言う手に出たりと、、本当に色々あった気がします。

 この作品は兄弟の確執を書いた作品なんですが…やっぱり本場の17歳。身内へ向ける怒りとか感情が生々しくて、現在その戦いの最中の10代ならではの感覚だと思います。
 それで文章力も構成力も高く、読み物としても完成してるんだもん。
 兄弟のちょっと変質的なまでの戦いまた怖くて良かったり(笑)

 十代の頃の兄弟喧嘩の絶頂期の感覚を、今は綺麗さっぱり忘れちゃってたんだなぁと、本から伝わる知っていた生々しい感覚に思わず苦笑してしまいました。
 うちの弟の読ませたら、一番下の弟は、、
「ねーちゃん。なんか俺がいる」
 って言ってたし。

 乙一さんが好きな人にもお勧め。(せつない方じゃない話の) 17歳で史上最年少で文藝賞を取ったこの作品は、私的には綿矢りさの『蹴りたい背中』や金原ひとみの『蛇にピアス』より衝撃的でした。

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