そうそう。サトラレにちょっとあった話なんだけど、例えば
「誰か助けて!」
って大勢に向かって助けを求めた時、手をさしのべてくれる人が
現れる確率ってすんごく低いらしい。
 逆に、特定の人の目を見たり、指を指したり名前を呼び、個人を断定した状態で、
「あなた、助けて!」
 って言うと、指名されたその人は、高い確率で救いの手をさしのべてくれるそうなのだ。

 それで思い出したのがこの話。
 母親の知り合いがお金を下ろしたところを、自転車に乗ったひったくりにあったらしい。
 そのお金はお店の売り上げ金が入っていると言うから結構な額だったのだろう。
 その知り合いのおばさんは、髪を振り乱し、
「どろぼー!」
と叫びながら自転車を追っかけたそうな。
 そこへ通りかかった運良く(悪く?)通りかかった青年にしがみつき、
「そいつにお金を取られたの!追っかけて!!!」
 と訴えると、その青年は泥棒を追っかけ取っ組み合いの喧嘩が
始まった。
 やや泥棒さんが有利か!?と言うところへ、運良く(悪く??)通りかかったスクーターにまたがったもう一人の青年。
 おばさんはその人の前に立ちはだかりスクーターを止めると、
「お金が盗まれたの!助けて!!」
 と懇願した。すると
「じゃあ警察に連絡をした方が…」
と言うスクーターのお兄さん。(至極もっともな意見です)
 弱気なお兄さんの言動に、かっときたおばさんは、
「あんた!あんたの親兄弟が今ここでひったくりにあっていても、同じ事を言えるのか!」
と一喝したそうだ。
 ぱっと見ると、取っ組み合っていた泥棒は自転車の青年から逃れるべく、塀によじ登って逃走を試みているところだった。
「ほら!!逃げちゃうじゃない!!早く加勢して!助けて!!」
 そこまで言われたスクーターの青年は、塀によじのぼった泥棒に飛びかかり、ひきずり下ろす。
 もみくちゃの乱闘の末、ようやく泥棒を召し捕り、現行犯逮捕となったのだ。
 警察に、「お手柄です。」と言われるおばさんは、笑顔で、
「取り押さえてくれたのはあの青年ふたりだから、表彰状は是非ふたりに」
 と言ったそうだ。

 でも助けてくれた青年ふたりも、おばさんがまわりに向かってただ助けを求めていたのなら素通りしていた気がする。
 自分もそうだと思うし。。

 でもやっぱり。この話で思ったのは、この一語だろうか。

 …おばさん。最強。

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