フランス料理の正しい食べ方&この人と結婚したいと思った事
2004年12月21日 日常
私はフレンチが好きなのだが、マナーがよくわからない事と、フォークとナイフがうまく使えないので、実はかなりビクビクしながらいつもメニューを選ぶ。
気心の知れた同じ部署の人たちとならば、食べたい物を選ぶのだが、そうでない場合は、悲しいかなホタテのうんちゃらなど、フォークでぶっさせば簡単に口に運べる物を選んで食べるようにしている。
心の中では、隣の人の皿に乗っているとろけそうな鴨や、てかてか光る骨付きチキンに涎をたらしながら…。
先日行き着けのお店に行った時、ランチメニューに『豚足のなんとか(忘れてしまいました…)』なる物があった。
ここのランチは前菜、パン(何度でもお代わり自由)、メインの肉か魚、デザート、食後のドリンクがついて1500円とカナリお得。
しかも濃い目の味付けでこれでもか!これでもか!というほどのボリュームなので、貧乏で食いしん坊の私ににとって、かなり好きなお店のひとつである。
店の雰囲気も敷居が高そうないかにも「フレンチざます」って言うツンツンした感じはなく、フランス人がさらっと普段の食事の場として使っているような感じ。気軽な内装で、赤と白のチェックのテーブルクロス。そして夜はバーにもなるようなカウンターがあるこじんまりとしたいい店だ。
そして本当に外人が多く、ちょっとだけ海外に行っているようなバカンス気分が味わえるのである。
私は沖縄料理も大好きで、沖縄料理には『てぃびち』というのがある。でぃびちは沖縄の言葉で豚足の事。「コラーゲンも多くて美容にもい〜よぉ」というおばあの言葉にもかなり揺れるが、本当にとろ〜りとしたぷにょぷにょの豚足は一度食べると癖になる。しかも骨の部分に箸を入れるとするする取れるのも嬉しい。私の中で「豚足=最も食べやすい肉のひとつ」と認識されているくらいなのだ。
そこでさっそく、豚足を注文してみた。しばし待つとほどなくテーブルの上に、大きな骨付肉を油で揚げたような物がどかんと2つ乗った。パブロフの犬のように涎を垂らしようになるのを必死に押さえ、前の席に座る同僚と満面の笑みで「いっただきま〜す!」とそのご馳走に飛び掛った。
…が。
フォークは豚足には突き刺さらず、ナイフももちろん入らない。
あれ?あれ?と首を傾げながら全体をフォークでつついたり、ナイフを差し込もうとするが、まるで殻に覆われているかのようにびくともしない。
これは食べ物なのか?
おそるおそる衣をはがすと、出てきたのは骨の塊。…何で骨?
逸る気持ちを落ち着かせるべく、添え物のじゃがいもに手を伸ばす。こちらは難なく私の口に入り、じゃがいものホクホクした甘いうまみが口いっぱいに広がった。
美味しい!…が、じゃがいもがあくまで添え物。今日の主役は豚足なのだ。!!
意を決して再びナイフをとって、お医者様のように豚足をぽんぽんと診断するが、まるでそれをあざ笑うかのように本当にフォークがささらないのだ。
あまりの挙動不審な私の態度に、同僚が不安そうな顔で私を見る。
「どうしたの?」
「…なんか、、全部骨って感じなんですが…」
めくった衣の部分がから骨をちらっと見せつつ泣きそうな顔で言う私。
「ええ?そうなの?とにかく私のちょっと食べな」
そう言って自分のイカのトマト煮を取り分けてくれる同僚の優しさに不覚にも涙が出そうになる。
目の前にご馳走が並んでいるのに、食べられない。まわりの人の美味しそうな顔とかちゃかちゃと器用に動くフォークの音を聞きながら、とても孤独でみじめな気持ちになった。
このままじゃいけない!ご馳走にありつけないなんて悲しすぎる!と思い、
「ごめん。本当にだめっこなんだけど、これ自分じゃ切れないから切ってもらってもいい?」
と同僚に切り出してみた。
「全然いいよ。貸して」
笑顔で皿を受け取ってくれた友人はさっとナイフとフォークを手に取り、手際よく解体にとりかかった。
…が。
彼女の手にかかってもどうやっても切れない。
もうこんな時は笑うしかない。
ふたりで「あれ?」「なんで?」と言いながらも、何だかおかしくなって眉をひそめながらもクスクス笑っていたのだが、私は声を潜め小声で同僚に、
「かなり恥ずかしいんだけどさ。…これってお店の人に食べ方聞いた方がいいかな」
と提案してみた。
さっきまで色々と倒れていそうな年頃の乙女が「って言うか〜、これどーやって食べていいのかわかんなぁ〜い」とお店の人に言うのはかなり恥ずかしいが、この豚足と呼ばれる骨の塊を食べかる道はそれしかない。
このふてぶてしい塊を、怒りにまかせてフォークでばんばん叩いていたら、豚足が皿からぽーんとダイブするという最悪のシナリオも否定できない。
うまくすれば、
「こちらの豚足はこうやって食べるのですよ」
とかっこいいホールのお兄さんが、食べやすく取り分けてくれるかお知れないし!
意を決してお兄さんを呼び寄せて、
「すみません。これどうやって食べるんですか?」
聞いてみた。ちょっと困った顔のお兄さんは(当然だろう。あまりそんな事聞かれないだろうから)。「少々お待ちください」と言ってキッチンの方へ消えていった。
これでこの豚足を征服できる!と鼻息の荒い私のもとへ、先ほどのお兄さんが戻ってきてこうおっしゃった。
「これは骨の部分についている肉を食べる物なので、手づかみでかぶりつかれても結構ですよ?」
ええ?手づかみ??かぶりつけ?
隣には「ウイ」とか言ってる外人やらこじゃれたマダムたちがチラホラいるけど、誰一人として手づかみでランチを楽しんでらっしゃる人なんかいないわよ!(怒)
金魚のように口をパクパクさせてから、そう反論しようとすると、お兄さんはさっとお手拭を大量に手渡し、「ごゆっくり」と去って行った。
目の前に残された骨の塊ふたつと、大量のお手拭き。そして私らの行動を遠くで見守るお兄さんの熱〜い視線。
ふたりでテーブルの物を黙って見つめていたが、私はなんだかとても疲れてしまって、
「もう何か胸がいっぱいになってきちゃったよ」
と力なく呟いた。
「大丈夫だよ。せっかくなんだし食べようよ」
「手づかみで骨に喰らいついてる人なんてどこにもいないよ。ナナちゃんも一緒に原始人みたく食べてくれるの?」
と聞くと、
「わかった」
と彼女は決意したように言って、好奇の視線が突き刺さるのも省みず、手をべとべとにしながら骨の塊にかぶりついてくれた。
もうこの時の感動といったら!
彼女が男の人だったら「この人についていこう」と本気で思ったくらいジーンとしてしまった。
そのまままわりの人に好奇な目で見られながらも、豚足に食らいつき「いつかネタになるね」って負け惜しみを言いながら豚足をほお張り続けた。
くそー!うまかったわよ!こんちくしょう!!
気心の知れた同じ部署の人たちとならば、食べたい物を選ぶのだが、そうでない場合は、悲しいかなホタテのうんちゃらなど、フォークでぶっさせば簡単に口に運べる物を選んで食べるようにしている。
心の中では、隣の人の皿に乗っているとろけそうな鴨や、てかてか光る骨付きチキンに涎をたらしながら…。
先日行き着けのお店に行った時、ランチメニューに『豚足のなんとか(忘れてしまいました…)』なる物があった。
ここのランチは前菜、パン(何度でもお代わり自由)、メインの肉か魚、デザート、食後のドリンクがついて1500円とカナリお得。
しかも濃い目の味付けでこれでもか!これでもか!というほどのボリュームなので、貧乏で食いしん坊の私ににとって、かなり好きなお店のひとつである。
店の雰囲気も敷居が高そうないかにも「フレンチざます」って言うツンツンした感じはなく、フランス人がさらっと普段の食事の場として使っているような感じ。気軽な内装で、赤と白のチェックのテーブルクロス。そして夜はバーにもなるようなカウンターがあるこじんまりとしたいい店だ。
そして本当に外人が多く、ちょっとだけ海外に行っているようなバカンス気分が味わえるのである。
私は沖縄料理も大好きで、沖縄料理には『てぃびち』というのがある。でぃびちは沖縄の言葉で豚足の事。「コラーゲンも多くて美容にもい〜よぉ」というおばあの言葉にもかなり揺れるが、本当にとろ〜りとしたぷにょぷにょの豚足は一度食べると癖になる。しかも骨の部分に箸を入れるとするする取れるのも嬉しい。私の中で「豚足=最も食べやすい肉のひとつ」と認識されているくらいなのだ。
そこでさっそく、豚足を注文してみた。しばし待つとほどなくテーブルの上に、大きな骨付肉を油で揚げたような物がどかんと2つ乗った。パブロフの犬のように涎を垂らしようになるのを必死に押さえ、前の席に座る同僚と満面の笑みで「いっただきま〜す!」とそのご馳走に飛び掛った。
…が。
フォークは豚足には突き刺さらず、ナイフももちろん入らない。
あれ?あれ?と首を傾げながら全体をフォークでつついたり、ナイフを差し込もうとするが、まるで殻に覆われているかのようにびくともしない。
これは食べ物なのか?
おそるおそる衣をはがすと、出てきたのは骨の塊。…何で骨?
逸る気持ちを落ち着かせるべく、添え物のじゃがいもに手を伸ばす。こちらは難なく私の口に入り、じゃがいものホクホクした甘いうまみが口いっぱいに広がった。
美味しい!…が、じゃがいもがあくまで添え物。今日の主役は豚足なのだ。!!
意を決して再びナイフをとって、お医者様のように豚足をぽんぽんと診断するが、まるでそれをあざ笑うかのように本当にフォークがささらないのだ。
あまりの挙動不審な私の態度に、同僚が不安そうな顔で私を見る。
「どうしたの?」
「…なんか、、全部骨って感じなんですが…」
めくった衣の部分がから骨をちらっと見せつつ泣きそうな顔で言う私。
「ええ?そうなの?とにかく私のちょっと食べな」
そう言って自分のイカのトマト煮を取り分けてくれる同僚の優しさに不覚にも涙が出そうになる。
目の前にご馳走が並んでいるのに、食べられない。まわりの人の美味しそうな顔とかちゃかちゃと器用に動くフォークの音を聞きながら、とても孤独でみじめな気持ちになった。
このままじゃいけない!ご馳走にありつけないなんて悲しすぎる!と思い、
「ごめん。本当にだめっこなんだけど、これ自分じゃ切れないから切ってもらってもいい?」
と同僚に切り出してみた。
「全然いいよ。貸して」
笑顔で皿を受け取ってくれた友人はさっとナイフとフォークを手に取り、手際よく解体にとりかかった。
…が。
彼女の手にかかってもどうやっても切れない。
もうこんな時は笑うしかない。
ふたりで「あれ?」「なんで?」と言いながらも、何だかおかしくなって眉をひそめながらもクスクス笑っていたのだが、私は声を潜め小声で同僚に、
「かなり恥ずかしいんだけどさ。…これってお店の人に食べ方聞いた方がいいかな」
と提案してみた。
さっきまで色々と倒れていそうな年頃の乙女が「って言うか〜、これどーやって食べていいのかわかんなぁ〜い」とお店の人に言うのはかなり恥ずかしいが、この豚足と呼ばれる骨の塊を食べかる道はそれしかない。
このふてぶてしい塊を、怒りにまかせてフォークでばんばん叩いていたら、豚足が皿からぽーんとダイブするという最悪のシナリオも否定できない。
うまくすれば、
「こちらの豚足はこうやって食べるのですよ」
とかっこいいホールのお兄さんが、食べやすく取り分けてくれるかお知れないし!
意を決してお兄さんを呼び寄せて、
「すみません。これどうやって食べるんですか?」
聞いてみた。ちょっと困った顔のお兄さんは(当然だろう。あまりそんな事聞かれないだろうから)。「少々お待ちください」と言ってキッチンの方へ消えていった。
これでこの豚足を征服できる!と鼻息の荒い私のもとへ、先ほどのお兄さんが戻ってきてこうおっしゃった。
「これは骨の部分についている肉を食べる物なので、手づかみでかぶりつかれても結構ですよ?」
ええ?手づかみ??かぶりつけ?
隣には「ウイ」とか言ってる外人やらこじゃれたマダムたちがチラホラいるけど、誰一人として手づかみでランチを楽しんでらっしゃる人なんかいないわよ!(怒)
金魚のように口をパクパクさせてから、そう反論しようとすると、お兄さんはさっとお手拭を大量に手渡し、「ごゆっくり」と去って行った。
目の前に残された骨の塊ふたつと、大量のお手拭き。そして私らの行動を遠くで見守るお兄さんの熱〜い視線。
ふたりでテーブルの物を黙って見つめていたが、私はなんだかとても疲れてしまって、
「もう何か胸がいっぱいになってきちゃったよ」
と力なく呟いた。
「大丈夫だよ。せっかくなんだし食べようよ」
「手づかみで骨に喰らいついてる人なんてどこにもいないよ。ナナちゃんも一緒に原始人みたく食べてくれるの?」
と聞くと、
「わかった」
と彼女は決意したように言って、好奇の視線が突き刺さるのも省みず、手をべとべとにしながら骨の塊にかぶりついてくれた。
もうこの時の感動といったら!
彼女が男の人だったら「この人についていこう」と本気で思ったくらいジーンとしてしまった。
そのまままわりの人に好奇な目で見られながらも、豚足に食らいつき「いつかネタになるね」って負け惜しみを言いながら豚足をほお張り続けた。
くそー!うまかったわよ!こんちくしょう!!
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