「あっ!」
 バス停まで行くと、私は思わず声を上げてしまった。
 バス停にはバスを待つ人がいるにも関わらず、バス停からほんのちょっとだけ頭を出したバスは、全く人を乗せる気がないらしい。
 運転者は、今か今かと信号が青に変わるのを待っている。
 「開けろ」とばかりに、じーっと熱い視線を送ってみるが、運転手も『目を合わせてなるものか!』と言う感じで、遠くを見つめる。

「さっき3台バスが行ったばかりだから、暫くは来ないわねぇ」
 乗れずにバス停に居たおばさんは、ハアっと大きなため息をつき電工掲示板を眺めていた。
 私もつられて掲示板を見ると、あと15分以上バスが来る気配はない。
 頭の中に『遅刻』の文字が浮かび上がる。
 昨日も電車の影響で大幅な足止めをくらったばかりだから、二日続けての遅刻はちょっとマズい。。
 道路を見ると渋滞して、オウムの列みたいに車がずらーっと並んでいた。
 私は、ばっとバックをしっかり肩にかけ直し、
「渋滞してるし。もしかしたら間に合うかも。私次の駅まで歩きます」
 先にいたおばさんにそう挨拶して、小走りで次の停留所まで歩き出した。

 渋滞していると思ったのは、ふたつ先の信号までだったらしく、すいすい動き出す車達に「ぎゃっ」と小さく悲鳴を上げる。
 もうダメか…と半ば諦めかけたその時。
 次の停留所にいる沢山の人たちの姿が見えた。(しかもありがたい事におじいちゃんおばあちゃん達!)
 何とか無事間に合い、
「さっき乗せてもらえなかったんで走っちゃいました」
と運転手に笑顔で恨み言を言えました♪
 その時の苦虫をつぶしたような運転手の顔は見物でしたよ!
 へへーんだ。ざまーみろ!

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