Zepp Tokyoは音と言葉の洪水。

 ヘドウィグという生き方。
 剥き出しで磨耗された最高にビッチでピュアな潔い魂。

 今日、あたしはヘドウィグ・アンド・アングリーインチという最高にカッコイイバンドのライブに行ってきた。

 え? それって三上博史がドラッククイーンの格好(ピンヒールにビスチェ、ラメラメのケバケバ化粧)をしておネエ言葉で演じるひとり芝居だよねぇ? と思われる方も多いはず。
 そうです。そのミュージカルです。
 でもロックミュージカルなんて言葉じゃこの舞台にはヌルい&だっっさい!!
 あたしの中ではやっぱりライブに行ったような感覚だった。

 まずZepp Tokyoを揺らす音量があり得ないくらいでかい。
(演奏も歌もモチロン生で凄い気合い!上手いしね!)
 かなりライブに足を運んだ大音量フェチな私が「あ、爆音!!」って思うくらいだから、普通の演劇じゃあり得ない音量だ。
もう演劇界的には革命って言ってもいいくらい。(劇団新幹線の音量にもこだわりを感じたけど、こっちのが凄い。まぁこっちはロックライブだからね)。

 ステージには三上博史扮するヘドウィグ。
そして彼女の従順な下僕たち。(メンバーね)
 あたし達は今日彼女たちのライブに足を運び、MCでヘドウィグの人生を聞きつつ、ライブを楽しむという流れだ。
 演劇6、歌4って感じかな。そのMCと歌の運びがあまりに自然なんで、どんどん三上の演技に引きずりこまれていく。
 演劇観に行ってその最中にスタンディングで弾けたり、ステージに向かって叫んだのはこれが初めての経験でした。(笑)

 ヘドウィグはあたし達に向かって語りかける。
 真直ぐに客席を見つめながら。
 時には笑わせ、時には真っ暗な谷底を覗きこむような深い哀しみを帯びた声で。
 ベアのキャンディーみたな甘い毒をたっぷりと湿らせた舌が、緩急をつけながらいやらしく観客の心臓をフェラすようになめ回す。

「歌いなさいよ。笑いなさいよ。寝ててもいいわ。でも帰る時はちゃんと申告してちょうだい」とか言い笑い煙草を吸いながら彼女は笑う。
 そして優雅な足取りで客席に向かうと、男性客の顔に股間をくねらせマーキングする。
 お客さんとのディスカッションをおりまぜた何てヘドウィグっぽいパーフォーマンス!

 最初「歌は日本語訳だしヤッパリ駄目なんじゃ…」「そもそも三上博史歌えるの?」とか思った自分が恥ずかった。
 それってちゃんと知りもしないくせに色眼鏡で批判するバカな大人と一緒だったから!

 文句あるなら観てからいいやがれ!って感じした。

 本気の歌には魂がこもります。
 だから色んな国の言葉に訳さて受け継がれている名曲があるんじゃん!
 全然知らない宇宙語でも同じように泣いたと思う。
 ヘドウィグの魂に共感する者ならば。

 音楽が好きな人、演劇が好きな人、ヘドウィグが好きな人。
 もし機会があれば劇場に足を運んで会いにいってください。
 もしもちょっとでもこの「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」に興味を持って下さった方がいたら、映画版をみてください!

 絶対に損はさせません! こんな面白い物があるのに見られないなんて勿体無いよ!!

 同じステージは二度はない。客のノリでアドリブを利かせ、約120分以上演じ歌い魅せる三上ヘドウィグは最高!
 リピーターが続出なのもわかります。あたしも修羅場じゃなければ、全部行きたかった…。
 難しいかもしれないけど、次再演したら必ず行きます!

コメント