「彼がオナニーするなんてやだ」
って言う年下の女の子の話しを聞く。
 だいたいイヤな理由は、「浮気」だと感じたり、「私以外の人を想像してそんな事しちゃヤダ」とか「キモチワルイ」みたいなんだけど。
「あたしは逆にオナニーしない男の人がキモチワルイけどねー」
 なんて言って笑ってしまう。
 男も「そんなんで浮気だなんて言われると参っちゃうよ。独占欲強いって言うか子供って言うか」なんて大袈裟にため息つく。

 でも。
 でも待って。
 ふっと思ったんだけど。
 男はそれを我慢できるのか?
 女の子が違う人を想像して『する』のを、男は許せるの?

 あんまり人の事は知らないけど、女の子は基本彼氏とか自分の好きな人としたHやら、もっとこうしたいなーと言うような事を想像して楽しむもんなんですわ。
 本当に人それぞれかも知れないけど、多分オカズにするのは身近な人の場合多い気がするんです。テレビや雑誌の誰それをオカズってあんまりしない気がする。

 そして中坊じゃないけど、女の子の場合かなり精密なイマジネーションなんで、想像だけでイケるんですよね。
 男の子のイマジネーションがどんなもんかわからないけど、女の子のイマジネーションは、とにかく凄いリアルなんです。

 そのリアルさって言うのは、毎日彼を想像してひとりHをしていた女の子が、そいつと別れた直後ピッタリやめたくらいのリアルさ。(苦笑)
 したくってもリアルすぎ自己嫌悪しちゃうから。
 別に彼としている訳じゃないのに、まるでまだ抱かれてもいいんだと錯角しちゃうから。 

 彼が仕事に行った後、あたしだけ布団に残っていてコッソリ別の人を想像してイッた事がある。
 彼の家で。
 彼の布団で。
 男の人だって彼女が寝ている隙を伺って、こっそりエロビ見て抜いたりするでしょ? それと同じ。
 でも男はそれが我慢できる?
 きっと男はそれを我慢できない……。
「そーゆーのってメチャクチャむかつくんだけど」
 あまり怒った事がない(タナベ君以外には…)ので有名な私が、久々に初対面の人にキレちゃいました。

 友達との飲み会での事。
 私と隣の人が格闘技について熱く語り合っていたところ、他の皆は
「ねー。お見合いってした事ある?」
「ないない」
「どんな感じなのかな?」
 と、『お見合い』の話で盛り上がっていたみたいでございます。
 そこで女から一人と、男から一人選んでお見合いをさせ、他のみんなでウオッチングしてみようって話になったみたいでした。

 そこでイヤ〜な予感。
 昔っからそうだけど、こういった話になった場合、ギャグ担当の私に、いっつも矛先が向くんですよね。

 いつもだったらもー若手芸人のように体張ってギャグの一発でも飛ばして、適当に盛り上げるんだけど、
 ちょっと今は修羅場が続いているせいか精神的にピリピリしていたもので…。
 私と大人しそうな男の人を向かい合わせて、少し離した席からクスクス笑っている人たちにプッツン切れてしまいました。

「ねえ。あなた達はそーやって笑いながら見てるだけだから楽しいかもしれないけど。こっちからするとかなりバカにされてるみたいなんだよね。そーゆーのってメチャクチャむかつくんだけど。不愉快なの、すっごく」
 努めて穏やかな声で、言ったつもりだったがかなりドスが利いていたらしい。
「ええ? 遊びだよ」
 おちゃらけた声で言う男の方に向かってにっこり笑いかける。
「遊び? そりゃそうやって見てる人はおかしいでしょうよ。別にいいわよ? 笑いが止まらなショーみたいに盛り上げてやる事もできるけど、だったらギャラに何かよこしなさいよ」
って言っちゃった♪
 だって腹立ったんだもーん。
 まーその後適当に落ちをつけておどけてみたから、シラケる事にはならなかったけど、「こえー」「こえー」って言われたけど、私からすれば、そーやって人を笑いのネタにして楽しもうって人たちの性根の方が怖いけどね★
「生まれて初めて映画館に観に行った映画は?」
とタナベ君と話していた時の事。

 私が生まれて初めて観た映画は『ドラえもん のび太の魔界大冒険』でした。
 スクリーンいっぱいにうつるドラちゃんの姿に、幼稚園の私は大興奮。

 どのくらい興奮したかって?

 そりゃー、親の制止を振り切ってステージに駆け上がるくらいの興奮ですよ。笑

 映画館は舞台挨拶とかできるような舞台があったらしいんですが、ステージによじ登って(スクリーンの)ドラちゃんに抱き着いたそうです。
 そして私が駆け登ると、次々と他の子供達もよじ登り出し、その回の映画はメチャクチャだったと母が話しておりました。

「…おそろしい子だたねぇ」
他人事のように私が言うと、
「まー。アンタの後に他の子達も登りだしたから、まだよかったけどね」
 とケロっとしておりました。

 その事をタナベ君が、
「なんか小さい革命家だね」
「…あのさ。そう思ったのって今チェ・ゲバラを観たから思いついたんでしょ…」
「うん」

 ふふふ。革命家か。
 チンカラホイを合い言葉に、アルコール過激派グループ作ろうかしら?
 ちょっと憧れる今日この頃でした。
 会社のみんなで『変態チェックシート』なるものをやった。(普通の会社じゃありえないって!?)。

 私は同点で『フェティッシュ』と、『女王様タイプ』になった。
 まー確かにフェチな部分はあるから、これは物凄く納得できるんですが、自分では『女王様』タイプではないと思うんだけど…。
 友達関係の男どもには絶対にSだと言われますが、好きな人には完全Mだもんね〜。
 チェックシートにせっせと記入していると、『エッチの時に、噛まれたりスパンキング(叩かれたりとの事らしい)、ちょっと乱暴に扱われたい』と言う項目が。
「叩かれるのは論外だけど、甘噛みはいいんだよねー。これってYESと思う?」
って隣の席の同僚に聞いたら、
「答えられない質問をしないで‥」
と困らせてしまいました。
「自分の事は自分が一番わかっている!私はMだ!」
と会社(しかも普通に仕事時間中)で騒ぐ私は、
「俺は肝臓が痛い!肝臓ガンだ!」
と騒ぐハタ迷惑なおっさんと同じなんでしょうか…。(肝臓は痛くならないのです)。
 でも病気のおいちゃんと一緒で、私も自分の事は自分が一番よくわかると思うんだけど…。

 皆さんは自分がSかMかちゃんとわかりますか??
そういえば本物のMの人はSもできるって聞いた事がるけど、もしかしてそれ?
 懲りずに考え続ける私でありました…。
「最近、平積みするとあっと言う間になくなっちゃうんですよ。これってそんなに面白いんですか?」
と本屋の店員さんに言われた。
 私はこれ以上ないってくらいに大きく頷き、「面白いです!!」と答えた。それがこの『虚貌』です。

<あらすじ> 
 21年前。運送会社を経営する一家4人を襲った凄惨な殺人事件が起きた。
 社長夫妻は残殺され、姉は下半身附随、弟は顔に大きなヤケドを負うという、悪意に満ちた凄惨な放火殺人事件だった。
 この事件で、共犯者に騙され主犯に祭り上げられた荒が出所した事をきっかけに、終わったと思われた事件は再び動きだした。
 荒の出所後、恨みを晴らすかのごとく残殺されていくかつての共犯者達。犯人は本当に荒なのか? 闇の中で蠢く犯人を、末期癌の老年刑事が最後の事件として追いかける……。
 てな感じのお話です。

<感想>
 前の『火の粉』でも書いたんですが、本当に雫井さんは、人間を書くのが上手! 各登場人物の心理描写とか、葛藤とか、別の登場人物との絡みなど(相手によって見せる顔が違うのも良い!)から、登場人物に厚みが出て、誰もかれも本当に存在する人間のように思えてきます。彼らの細やかな感情の動きが、ストーリーをさらに面白くする究極のスパイスなんだと思います。もう、最後まで活字から目が離せません!
 ただトリックとかはちょっと……ってところがあるので、(それを差し引いても全然良いけど!!)、トリック重視で本を選ばれる方にはオススメしません。 (笑)
宮部みゆきさんの『理由』『模倣犯』とか、天道新太さんの『家族狩り』とか、貫井徳朗さんの『慟哭』とか好きな方は結構ハマるんじゃないかと思いました。

エンターテイメントとして見ると文句なしに面白いです。これも映像で観たら面白いだろうなぁ…。と、こっそり頭の中で役者をたてて映像化を試みる私でした。

オマケ:『虚貌』は上下巻なので、ちょっとためらう方は一冊完結の『火の粉』がオススメ。こちらが好きなら絶対好きだと思います。

★☆★雫井 脩介 幻冬舎 2003/04 ¥600(文庫版)★☆★
 仕事柄か、この年齢にしては結構銭湯を使う私達。
 会社の側に3つ行き着けの銭湯があり、
「ぎゃ、A湯は11時までに入らないと追い出されるよね…。間に合わない!」
とか、
「今日は寒いから、シャワーのお湯が熱いお墓の側にあるB湯に行くか…」
など話すのである。
「ふかみちゃん。この前A湯で凄いのみたよ」
「凄いの? ちち?」
「……違うよ」
と言って同僚のナナちゃんはは、凄い話をしてくれた。
 
 Aちゃんが銭湯に入ると、正面から左側にあるこじんまりとした3人スペースに腰を下ろしたそうだ。
 Aちゃんがせっせと体を洗っていると、色の白い女の人がすっと隣い座ったそうだ。
 そして彼女がおもむろに取り出したのが、
 LG21。コンビニで普通に売っているヨーグルトだったそうだ。
「でね。普通にベリっとふたをはいで、エステシャンみたいな見事な手さばきで顔にぬりたくったんだよ!」
 そしてヨーグルトをひとつ塗り終わると、もうひとつ新しいヨーグルトを取り出し、今度はバディーに。
「なんかヨーグルトの固まりがこっちに流れてくるから急いで席変わったよ」
 ナナちゃんはそう言うが、ぽそっと。
「でも、化粧してないはずなのに、すっごく色白かったんだよねぇ」
 ……ちょっとやってみたいかも。
 怖いものみたさと言うか、ちょっと本気でそんな事を考えてしまいました。
 ああ、女って業って怖い。
「もー、うっとい。触らないでよ」
 牛が尻尾でプイプイまとわりつくハエでも払うかのように、ピシっとあたしの手を叩く。
「いったいな〜。って言うかそれは私のでもあるんだからね」
「何言ってるの? これは俺のなんだから。勝手に触らないで」

 ブー!
 付き合った人のチンコって、彼女のモノじゃありません?
 だから好きなだけ触ったって揉んだって、文句言われる筋合いはない! と思うのでございます。
 チンコは彼の連れ子のような存在だと思うのだ。
 何度も自分の中に出入りしたり、なでたりキスしたりしていくうちに、愛着のような感情がうまれるわけですよ。
 (で、私のよーに彼の連れ子に対してなみなみならぬ思いがある人間は、どーしてもその子と相性が悪かったりすると、別れる原因になったりもする)。

 隣で転がっているタナベ君のタマを勝手にモミモミすると、その微妙な硬さや、『あー、溜まってきてるなぁ』とか『お、昨日あたり抜いたのか?』とか触診できるようになるんです。(これもチンコへの愛ゆえ!)
 で、タナベ君に、
「昨日ひとりでしちゃったんだ! ずるいずるい!」
 とか言うと、『そーゆー事をいちいち言わないの!(怒)』って怒られちゃうんですね。

 スウスウとタナベ君が熟睡している時に、タナベ君の手をどけてチンコに手を置いてみた。(私的にベスポジ!)。
 しかしタナベ君も寝ている時に、自分のチンコに手を置いている事がよくある。どうやら彼的にもチンコに手を置くのがベスポジのようなのだ。
 タナベ君の手をそっとどかし、テリトリーを侵略すると、眠っているはずのタナベ君が顔をしかめて手を払いのける。 
 ムムム、眠っているハズなのに…。コヤツできるな!

 このチンコ、誰のチンコ?

 タナベ君が眠りについても、チンコをめぐったテリトリー争いは、終わらないのでありました…。

寝る子は育つ

2005年2月14日 恋愛
「ほんっとーにふかみんは良く寝るよねぇ…」
 呆れたようにタナベ君が呟く。
 今日はお昼過ぎまで眠っていて、起きてトイレに行って……また眠ってしまった。
 忙しい時はほとんど徹夜でオッケーなんだけど、一旦役目が終わるとそれこそ屍のように眠り続ける。
 手持ち無沙汰なタナベ君は、いつも私を起こそうと色々頑張っている。

「ねーねー。ふかみんのタピオカアンニン。全部飲んでもいいの?」
 横を向いて眠っている私を目の前にタピオカアンニンを置いて、ストローを無理矢理口に突っ込もうとする。
「………(怒)ZZZ」
 遠くの方で声が聞こえるが、体は動かせない。
 と言うか、いつもは煩悩の塊のような私なのだが、眠っている時はそれこそ仏のよーに、食にも色にも興味がなくなる。
 昨日もタンタカを一本飲んだら、気分が良くなってコテっと眠ってしまった。

 気がつくと3時間経過。時計の針は夜中の3時を刺しており、タナベ君はウトウトしながら寝る支度をしている。
 珍しくパチっと爽快に目覚めちゃったもんだから、私のテンションはすごぶる高い。
「ねーねー、DVD観よーよ! 遊ぼうよ!!」
 布団に包まるタナベ君を、子供が『遊園地連れてって!』と言うような熱心さで、揺すり倒す。
「……ふかみんはずっと寝てたけど、俺はもー眠いの」
「なんだよー、ケチ! 観ようよ! じゃーオハナシしようよ」
 私がグイグイ揺すったせいか目が覚めてきたらしい。逃げるようにトイレ&台所に旅立ち、シチューを片手に戻ってきた。
「ふかみん。何だか目が覚めたよ……ってアンタもう寝てんじゃん………」
 タナベ君の絶句した声が遠くで聞こえる。(タナベ君はこの後、明け方まで眠れなかったそうな…)。

 この後、スープを無理矢理飲まされそうになっても、ずっと楽しみにしていた抹茶のバームクーヘンを食べられてもピクリとも起きませんでした。

 寝る子は育つって事で。
 許してね、タナベ君。
「ふかみん。美味しいカツ丼あるぞー」
 家に帰るなり父親がそう言ってくる。

 カツ丼は好きだ。大好きだ!
 大好きだけど、深夜も1時をまわってしまうとさすがに重い…。
 今日は食べないと言うと、「せっかく買ってきたのに!」物凄い剣幕で怒りだすので、半分だけ食べて「残りは明日」と言った。
 よかれと思って買ってきてくれるのは嬉しいけど、ちょっと勘弁願いたい…。

 逃げるように母親の部屋にお茶を持って向かった。
 今、母親がインフルエンザにかかってしまいダウンしているのだ。
 本当はもうちょっと看病したいんだけど、現在監禁中(会社に…)なんで、ままならない。
「大丈夫? ご飯食べた?? お茶入れたよ」
 私の問いかけに少女のように首を横にふる母親。
 オイオイ…。なんだか一回り小さくなったぞ…。
「ほらお茶飲んで。あと果物。ちゃんとご飯食べた?」
「お父さんがカツ丼買ってきて…。お茶はコンビニで買ってきたの……」

 シクシク泣き出す母親を見て、カーっと頭に血がのぼる。

 ガンガンと音をたてて階段をおりると、父親に
「熱が40度近くある人がカツ丼なんか食うか!!!!」
と怒鳴った。
 ションボリとうなだれた父は居心地が悪くなったのか、そそくさと犬を連れて散歩に出かける。
 翌日。私が婦人科から食材を買って帰ると、両親はそろってダイニングにいた。
「お粥食べる? それともうどんとか作ろうか」
 私の問いかけに、父親が、
「お母さんは、今お腹すいてないって。お父さん、お母さんにご飯買ってきたんだけど、今いらないって言ってたぞ」
 力なく笑う母親の目の前に置かれているのは『カツサンド』。

 …………。
 もう怒る気力がなくなりました。

 だから、病人はカツサンドもカツ丼も食べないんだってば!!!

 そう言えば私がまだ小学生の頃、病気になった母に父がおじやを作った事が一回あった事を思い出した。
 そのおじやとはラーメンのつゆにご飯を入れただけのものでした……。それを見て母親がショックを受けて「こんなのいらない」と言って喧嘩していたのを思い出しました。

 全く。
 男の人って頼りになんない!!(怒)
 結婚おめでとう。
 別れた時、もし3年経ってまだ好きだったら。
 そん時は私から告白しようって自分に言い聞かせて別れました。
 もうすぐ3年。もうその機会すらないんだから相変わらずトロイわねぇ。
 この先私が好きな人と結婚しても…まぁ一生独身でも。
 子供ができてもおばあちゃんになっても。
 私にとってU君は特別大切な人です。
 7/31は私が生きてる限りこっそりおめでとうって言っちゃうと思う。
 ほとんど会ってないのにおかしな話だと思うかも知れないけど(でも気付いてたかな?)ずっとずっと凄く好きだったの。

 この先「あの時言えなかった」って後悔するのが嫌だから言っちゃったよ! 人生初の告白でした!
 ずっと一緒にいられなくてもいいから。
 もしまた生まれ変わったら彼女にしてね。
 
 ではでは。結婚おめでとう。幸せになってください。

 これが私の人生初の告白でございました。
 しかもついこの間…。(爆)。
 ちょっと前にも書いたモト彼に最後に出したメールです。
「もうあんなにカッチリ振られといてプライドないの!?」
 とか言われたもしたんですが、ないです、プライド。
 と言うか欲しい物を欲しいって言えない方がよっぽど嫌!

 後悔はしないでするより、した事にたいして狡獪する方が何万倍もいいと思ったから。
 彼から返事は来ませんが、私的にはサッパリした気持ちになりました。
 やっぱり言って良かった。
 きっと言わなかったらあと数年悶々しちゃっただろうからなー。

 現在ド修羅場中なので、気合い入れてそっち頑張ります。(じゃないと終わらないからね★)
 最近重い内容が多いっすね。ちょっとそろそろ明るめに行くんで、、宜しくお願いしますっ!
「ふかみんは昔っから童顔だから若く見えるよ。27才でも大丈夫」
 携帯の向こうで友人がケラケラっと笑う。
 まぁ丸顔だし、言動もちょっとおかしいから年相応に見えないのかも知れないけど、基本的にマスコミ系で働いている人って皆年齢不祥な人が多い。
 タナベ君もそうだし、友達もフロアの人たちも驚くほど皆若く見える。
 そして実際の年を聞いて「うそー!」とびっくりする事が日常茶飯事だったりする。

 不規則な生活は人を若返らせるのか? 過酷な労働は人を若返らせるのか?

 ちょっとそんな事を考えてみました。
 確かに11時に寝て朝7時くらいに起床する人がいるとしよう。
 彼女たちのお肌はそりゃープリプリっとしているに違いない。(大変うらやましい)。
 では。コンシーラーでクマを隠している私達が若く見えるのは何故か?
 
 きっと神様がちょっと算数が弱いんだと思います。
 規則正しい生活をしている人は、神様は計算しやすいから「はい、あんたの時間ちょっと削るよ〜」ってチャキチャキっと削るんじゃないかと思うんだけど、いつ寝てるんだか、寝てないんだかわからない人間だと「えっと……昨日から起きてて……えっと睡眠がえっと………。。うーん。面倒くせぇ。あとでにしょっ」
と思って計算を放棄するんだと思います。
 そーすると。あら不思議。
 年齢不詳の人たちが巷に溢れるって寸法です。
 で、神様が思い出したよーに計算して、
「ほいほいほいっと。ざくざく時間削るでー」
 って膨大な時間を一瞬に削られると、コテっと突然死(過労死)する訳です。

 私的にはカナリ合ってると思うんだけど………。
 皆さんどう思います??
 最近思うんだけど、女は短距離ランナー、男は長距離ランナーとして長いスパンをかけて体と、キモチを作っていくように思う。

 はて。何の事じゃろ? と言われますと、仕事にたいしての覚悟とか距離の取り方の事なんです。

 だいたいは男は父親を見て、『男はこ〜やってずっとはならかなきゃならね〜んだ…ふえ〜。』と幼い頃から無意識で長距離ランナーになるべく覚悟をしてきてる気がする。(なるならないは別としてね)。

 逆に女は、『走る人もいるし走らない人もいる。途中で休む事もできるし走るのを辞めてもいい』と知ってしまう。

 これじゃー幼い頃から長距離選手として育てられたアスリート達とは、覚悟が違うし、心の成長レベルも違うよね…。

 女の人が働く場合、今働く事は好きだけれど、定年まで働く自分の姿をあまりリアルに想像していない…。好きで気が付いたら定年まで…ってパターンになっちゃうのかなぁ。(まだ未知の世界だ!!)
 だから走り方が皆危うくなるような気がする。
 走る事を決めた人は、基本走るのが好きだから、無茶苦茶に疾走する。
 でコテンと息切れを起こして倒れたり、20代も後半でやっと
「むむ? この走り方では最後まで完走できない!? つ〜〜か私いくつまで走るつもりだ?」
 と、自分の走りに不安を覚えるようになるわけです。

 私は現在短距離ランナーの走り方をして4年近く走っているけど、ちょいとガタがくるようになってきましたわ。。どっかにてっとり早くドーピングできるお注射でもないかしら。
 
 それに自分でゴール地点を決めるのも、完走するのも難しいわねぇ…と思う今日この頃でした。

 うう…。テンパってるせいでまとまってない駄文ばかりスミマセン。。
 正月から3月まで丸々休みはほぼナシになりそうな予感…。
 ちょっと精神的に参ってきました。
 沖縄いきてー!!

優しい嘘

2005年1月23日 友達
「U川結婚するつもりらしいよ。アイツ今お金貯めてるみたい」
 そう言われた時、いつかは…と覚悟はしてたつもりだったけ、鋭利なナイフで昔の古傷をえぐられたような感覚に陥った。苦しくて息ができなくなった。
 古傷は3年近く経ってもまだ小骨のように刺さったまま。
 何かを飲み込むたびに小さな痛みが走る。
 皆もっとうまく飲み込めているはずなのに、どうしてこう何事にも不器用なんだろう。
 でも今日の痛みはあの時、別れを切り出された時と同じ。
 今回も覚悟してるなんて口だけだったんだと痛感した。

 19の時から5年半。初めて付き合った彼の結婚秒読み報告。
 男の人では初めて電話して、デートして、旅行して、ふたりで御飯食べて、映画みて、手を繋いで、キスして、SEXして。そして初めて私の前から去った人。
 目から涙がこぼれないように力を入れると、酒を持つ手が震えた。

 別れ話をされた時、今の自分とじゃだめならば、3年後の自分の気持ちを待とうと思った。
 まだ好きだったらもう一度、今度は私から告白すればいいと言い聞かせ、表面的にすんなり別れた。その後は死ぬかと思ったけど、それを知っているのは友達たちだけ。
 4月で3年。毛嫌い料理や家事も多少はできるようになったし(やってみたら結構すきだった)、彼以外の男の人も何人か知った。
 ただそれは、「もったいないことしたなぁ…」って思わせたかっただけなのかもしれない。1年半くらいはこれしか考えてなかった。
 そして現在。彼より合う恋人もできたのに…。
 どうしても気持ちに決着のつけられない忘れられない人。
 告白するかは別として、もう一度会って話しがしたかった。
 自分がどんな事を話すのかシュミレーションしたけどパターンが沢山ありすぎて自分でもわからない。

 昨日また友人に「ちょっとでもいいからすぐ来い」と連絡を受け、飲み会に途中参加した。
 今日こそは言わなきゃと思っていたと切り出され、彼らがもうすでに招待状を手にしていた事を聞いた。
「イキナリ言うよかいいだろ」ボロボロ涙が溢れる私にそう言って酒をつぐ。
 その通りだ。さすがは18からの付き合い。頭が下がる。
 そしてもうひとりびっくりしている自分がいた。まだこんなに泣けるんだって。
 あれから一度も恋愛事で泣いた事がないのに…。昔の泣き虫の子供に戻ってしまったようだった。

 何か悲しいんだかわからない。恐ろしいほどの喪失感。
 物凄くパワーがあって、人を純粋に好きになれた時代。打算とか計算もない時代。そんな自分や時間が懐かしいのか、わからない。きっとそうなんだと思う。

 今私には彼がいる。とても大切な人。今泣いてるのは昔のままの部分。子供の私が大人の私な体で泣いているんだと思う。 そうじゃなかったらシャレにならない。
 それが切なくて情けなくて「こんなんじゃいっそ別れた方がいいのか…」と思ったりもした。

  新宿駅の改札でいつまでも号泣する私を、M君とKちゃんは隠すように立ち、「いいからもっと泣け。泣けるだけ泣け!」と言ってくれました。
 そして一本9000円近くする酒を、泣いている子供にアメでも与えるかのように私のために頼んでくれたF君。(知らずにチャンポンしてごめんね!)ありがとう。皆大好きです。

 落ち着いてどうして泣いたかわかりました。前に読んだ本にあった凄く切ない台詞です。

 別れるということは思うに、つまり、たとえどういう場合の別離でも結局のところそれは物理的な別離だ。
 同じ空の下にいるのに違う星で生きているようなもので、どんなに彼の事を思っても、彼は自分の知らない生を生き、知らない人を愛し、知らない間に死ぬという事だ。
 同じ空の下にいるのに、こんなにも遠い。それがただ悲しい。

 まる子のキュッとしまった密壺は、ヌラヌラと湿り気を帯びている。
 そしてソコは俺の指先に甘えるように、クチュクチュと音をたてながら一本、二本、三本と容易に俺の指を飲み込み、中へ中へと誘い入れる。とかかが勃起する文章かな? と、すると…。
 
「いっ…、いやっ」
 突然、生徒会室に連れ込まれたかと思うと、大きな片手で難なく両手を抱え束ねられ、あたしはアイツにドスンと壁に押しつけられた。
 アイツ…と言うのはこの学園の帝王。
 眼鏡の下はポーカーフェイスで、いつも人を見下したような生徒会長のことだ。
「ッ…離して。離してったら!」
 イヤイヤをするようにかぶりをふるあたしの唇に、アイツはもてあそぶかのようにキスの雨を降らせてくる。
「ウソをつくな。感じてるんだろう? 頬が赤いぞ」
「んっ…ウソなんかついて…んっっ、あんっ」
 口を開いて反論すると、すりと湿った舌が口腔に侵入しピシャピシャと湿った音をたてながらかき回す。

 ってのがエッチでドキドキする文でしょうか。うーん。。書いてる私が寒さでドキドキだったよ。。つーか官能小説じゃん。って言うつっこみが。ちなみにまる子はうちの猫の名前です。

 勃起させるような文章を書く! と思ったですが、とっても難しいですなぁ。ついでに若い子をドキドキさせる文章はもっと難しい。。勉強不足です。。やっぱり私はいつものアホウ路線でつっぱしります!
 つーか読み返して凄まじく恥ずかしくた。。たぶんすぐ消します。。
 勃起する文は、私にはまだレベルが足りませんでした〜。。ギョボー!!
「…ねぇ、あのボードのイラストは何の意味??」
 2005年は前にもまして。『俺の体目当てなの?』と言われてしまう。(前までも言われてたけどさっ)。

 世の中の女の子ってあんまり「えっちしたーい」「えっち!えっち!」って言わないのかな。

 タナベ君に今更ながら『女の恥じらい』について語られてしまったので、露骨なセックスアピールはやめる事にしました。
 で。思いついたのが、ホワイトボード。
 すれ違いの多い生活な私たち。ちょっと前に一緒にハンズに行った時、タナベ君の家にお互いの伝言板として白いホワイトボードを買いました。

 普段、幼稚な私の書く事と言えば。『冷蔵庫のデザートは私の。食べたら殺す』とか。『履歴にあった桜朱音ちゃんの乳を見ました。こんな感じ。すげー!イメトレしなきゃ(乳イラスト入る)』などと他愛もない事なんですが、どーも欲求不満になると、『ぞうさん』の絵を描きだします。
 このぞうさん。日に日に成長し、リアルな姿となってきます。
 冷蔵庫のボードを見るたびに、立派に成長していくぞうさんの姿に、とうとうタナベ君が無視しきれなくなったみたいでした。
「えへへ。ぞうさん…。遠回しなエッチのお誘いのつもりなんだけど」
「全然遠回しじゃないよ…」

 これ以上リアルに描かれたら困るのか、この日タナベ君は覚悟を決めてくれたらしく、万年発情期の私にこってりご褒美をくれました♪

 最初の頃はセフレみたいな感じったから、エッチばっかだったけど、本当に付き合うとエッチが減っちゃう。
 ちょっとだけ昔が懐かしい今日この頃でした。

「ベビーオイルで簡単に10代の肌に戻れたよ!」
「ちょっと! 何? 何それ!!!! 詳しく聞かせて!」

 身を乗り出して、向かいのディスクの同僚に詰め寄る私。
 そこでこの裏技を聞いちゃいました。

 使用するのはベビーオイルのみ。
 マジ!?
 高揚感でハアハアと息づかいも荒くなる。その裏技とは↓

1→お風呂に入っていつも通り体を洗い、お風呂から出てからしっかり体をふく。

2→その後に腕、足、お尻などなどにベビーオイルをぬる。

3→もう一度お風呂場へ戻る。ベビーオイルを塗ったままの状態でざっとシャワーをかけ、余計な油分を流す。

4→お風呂から出て、優しくのせるようにタオルで水分を吸収。(間違ってもガシガシこすらない!!)


 これだけなんですわ。
 今日さっそくやってみたんだけど、3の『ベビーオイル塗ってからもう一度シャワーを浴びる』は凄いよ!
 もーポロポロっと恐ろしいくらいに肌が水を弾くんですよ!!!
 前までも「今だってちゃんと水くらい弾くわよ!」と思ってたけど、弾くレベルが違いますわい! 10代! 10代の弾け方ですよ!!(もーこれだけで元が取れたくらい嬉しいです)。

 上がった後も確かにしっとりした良い感じ。
 ベビーオイルの小さいのなんて、200円くらいでしょ?
 この値段でこれだけしっとりするのはちょと嬉しいなぁと大満足でした。
 ふぎゃー!
 と悲鳴をあげてタナベ君が飛び起きた。
 普段はスヤスヤと眠っているけれど、寝汗をかいていてびっくりした。
「どうしたの?」
「変な夢みた…。ふかみんが…ハンバーガーを食べてる夢…」
 とタナベ君。
 ……。
 全然変な夢じゃないじゃん!
 もう一度聞いてみると、ポツポツと夢の内容を話し始めるタナベ君。

 どーやら彼の夢で私が風俗で働いていたらしい。
 その日にアダルトショップのローターなんかの話しを嬉々として話していたからかな。
(ローターは直に使うと痛いから服の上からのがいいと思う。私的にはね★とか言ったからかも…)。

 お客を選べるのなら風俗で働きたいですけどね。
 自前でナース、セーラー、メイド、チャイナ持ってるし…。

 新年は生理でたいした秘め始めができませんでしたが、今年も宜しくお願い致します。
 実は私、
 子供の頃にすんんごくイヤなガキだったんですよ。
 現在はおこずかい帳すら満足に続かないのに、小学生の頃の私は『こどもえんま帳』と言う物をつけていました。
 『こどもえんま帳』とは、毎年親戚や知り合いのおじさんおばさんからもらったお年玉の金額をキッチリ記録した恐ろしいノートだったのでございます。

 199X年
 お父さんとお母さん 1万円
 ばばちゃん 1万円
 横浜のおばあちゃん 1万円
 ○×おじちゃん 1万円
 ××おじちゃん 5000円(前回よりー5000円)
 ◎◎おばちゃん3000円(初めてくれた)

 ↑みたいな感じです。

 お正月になるとまるでキツネにでも憑かれたかのような、子供ならではの盲目的な熱心さでノートをつける私。
 弟が一緒にノートを覗きこみながら、ふたりでトップ会議をひらく。
(親に見られたらビンタされるだろーし、没収されるおそれもある。慎重に!!)

あたし:「あー…。××おじちゃん今年は減ったよ〜。」
弟:「おばあちゃんは絶対に1万くれるよね」

 うんうんと頷きながら、過去の記録を確認しつつ
あたし:「今年はあと△おばちゃんと、?おばちゃんが5000円ずつくれるはずだよ」
弟:「うーん。でも今年はなんだか皆少ないね?」
あたし:「うん。なんでだろー?みんなケチンボだよね!」


 バブル崩壊と言う言葉を知らずに『こどもえんま帳』からバブル崩壊を感じる子供たち。

 オトナになって思う事。

 こんなクソガキにお年玉はやりたくない!
 子供も金の亡者ぢゃ!! 侮れないし、おそろしい〜!!!
 私はフレンチが好きなのだが、マナーがよくわからない事と、フォークとナイフがうまく使えないので、実はかなりビクビクしながらいつもメニューを選ぶ。

 気心の知れた同じ部署の人たちとならば、食べたい物を選ぶのだが、そうでない場合は、悲しいかなホタテのうんちゃらなど、フォークでぶっさせば簡単に口に運べる物を選んで食べるようにしている。
心の中では、隣の人の皿に乗っているとろけそうな鴨や、てかてか光る骨付きチキンに涎をたらしながら…。

 先日行き着けのお店に行った時、ランチメニューに『豚足のなんとか(忘れてしまいました…)』なる物があった。
ここのランチは前菜、パン(何度でもお代わり自由)、メインの肉か魚、デザート、食後のドリンクがついて1500円とカナリお得。
 しかも濃い目の味付けでこれでもか!これでもか!というほどのボリュームなので、貧乏で食いしん坊の私ににとって、かなり好きなお店のひとつである。
 店の雰囲気も敷居が高そうないかにも「フレンチざます」って言うツンツンした感じはなく、フランス人がさらっと普段の食事の場として使っているような感じ。気軽な内装で、赤と白のチェックのテーブルクロス。そして夜はバーにもなるようなカウンターがあるこじんまりとしたいい店だ。
 そして本当に外人が多く、ちょっとだけ海外に行っているようなバカンス気分が味わえるのである。

 私は沖縄料理も大好きで、沖縄料理には『てぃびち』というのがある。でぃびちは沖縄の言葉で豚足の事。「コラーゲンも多くて美容にもい〜よぉ」というおばあの言葉にもかなり揺れるが、本当にとろ〜りとしたぷにょぷにょの豚足は一度食べると癖になる。しかも骨の部分に箸を入れるとするする取れるのも嬉しい。私の中で「豚足=最も食べやすい肉のひとつ」と認識されているくらいなのだ。

 そこでさっそく、豚足を注文してみた。しばし待つとほどなくテーブルの上に、大きな骨付肉を油で揚げたような物がどかんと2つ乗った。パブロフの犬のように涎を垂らしようになるのを必死に押さえ、前の席に座る同僚と満面の笑みで「いっただきま〜す!」とそのご馳走に飛び掛った。

 …が。
フォークは豚足には突き刺さらず、ナイフももちろん入らない。
 あれ?あれ?と首を傾げながら全体をフォークでつついたり、ナイフを差し込もうとするが、まるで殻に覆われているかのようにびくともしない。
 これは食べ物なのか?
 おそるおそる衣をはがすと、出てきたのは骨の塊。…何で骨?

 逸る気持ちを落ち着かせるべく、添え物のじゃがいもに手を伸ばす。こちらは難なく私の口に入り、じゃがいものホクホクした甘いうまみが口いっぱいに広がった。
 美味しい!…が、じゃがいもがあくまで添え物。今日の主役は豚足なのだ。!!
 意を決して再びナイフをとって、お医者様のように豚足をぽんぽんと診断するが、まるでそれをあざ笑うかのように本当にフォークがささらないのだ。

 あまりの挙動不審な私の態度に、同僚が不安そうな顔で私を見る。
「どうしたの?」
「…なんか、、全部骨って感じなんですが…」

 めくった衣の部分がから骨をちらっと見せつつ泣きそうな顔で言う私。
「ええ?そうなの?とにかく私のちょっと食べな」
 そう言って自分のイカのトマト煮を取り分けてくれる同僚の優しさに不覚にも涙が出そうになる。
 目の前にご馳走が並んでいるのに、食べられない。まわりの人の美味しそうな顔とかちゃかちゃと器用に動くフォークの音を聞きながら、とても孤独でみじめな気持ちになった。

  このままじゃいけない!ご馳走にありつけないなんて悲しすぎる!と思い、
「ごめん。本当にだめっこなんだけど、これ自分じゃ切れないから切ってもらってもいい?」
と同僚に切り出してみた。
「全然いいよ。貸して」
 笑顔で皿を受け取ってくれた友人はさっとナイフとフォークを手に取り、手際よく解体にとりかかった。
…が。
 彼女の手にかかってもどうやっても切れない。
 もうこんな時は笑うしかない。
 ふたりで「あれ?」「なんで?」と言いながらも、何だかおかしくなって眉をひそめながらもクスクス笑っていたのだが、私は声を潜め小声で同僚に、
「かなり恥ずかしいんだけどさ。…これってお店の人に食べ方聞いた方がいいかな」
と提案してみた。

さっきまで色々と倒れていそうな年頃の乙女が「って言うか〜、これどーやって食べていいのかわかんなぁ〜い」とお店の人に言うのはかなり恥ずかしいが、この豚足と呼ばれる骨の塊を食べかる道はそれしかない。
このふてぶてしい塊を、怒りにまかせてフォークでばんばん叩いていたら、豚足が皿からぽーんとダイブするという最悪のシナリオも否定できない。
 うまくすれば、
「こちらの豚足はこうやって食べるのですよ」
 とかっこいいホールのお兄さんが、食べやすく取り分けてくれるかお知れないし!
 意を決してお兄さんを呼び寄せて、
「すみません。これどうやって食べるんですか?」
 聞いてみた。ちょっと困った顔のお兄さんは(当然だろう。あまりそんな事聞かれないだろうから)。「少々お待ちください」と言ってキッチンの方へ消えていった。
 これでこの豚足を征服できる!と鼻息の荒い私のもとへ、先ほどのお兄さんが戻ってきてこうおっしゃった。
「これは骨の部分についている肉を食べる物なので、手づかみでかぶりつかれても結構ですよ?」
 ええ?手づかみ??かぶりつけ?
 隣には「ウイ」とか言ってる外人やらこじゃれたマダムたちがチラホラいるけど、誰一人として手づかみでランチを楽しんでらっしゃる人なんかいないわよ!(怒)
 金魚のように口をパクパクさせてから、そう反論しようとすると、お兄さんはさっとお手拭を大量に手渡し、「ごゆっくり」と去って行った。

 目の前に残された骨の塊ふたつと、大量のお手拭き。そして私らの行動を遠くで見守るお兄さんの熱〜い視線。
 ふたりでテーブルの物を黙って見つめていたが、私はなんだかとても疲れてしまって、
「もう何か胸がいっぱいになってきちゃったよ」
 と力なく呟いた。
「大丈夫だよ。せっかくなんだし食べようよ」
「手づかみで骨に喰らいついてる人なんてどこにもいないよ。ナナちゃんも一緒に原始人みたく食べてくれるの?」

と聞くと、
「わかった」
 と彼女は決意したように言って、好奇の視線が突き刺さるのも省みず、手をべとべとにしながら骨の塊にかぶりついてくれた。
 もうこの時の感動といったら!
 彼女が男の人だったら「この人についていこう」と本気で思ったくらいジーンとしてしまった。
 そのまままわりの人に好奇な目で見られながらも、豚足に食らいつき「いつかネタになるね」って負け惜しみを言いながら豚足をほお張り続けた。
 くそー!うまかったわよ!こんちくしょう!!
「この前買ったスピーカーをスタジオに持って行くから、タクシーに乗せるまで運ぶのを手伝ってほしいだけど」
「…明日はオールで朝まで飲みに行くんですが…何時出発なの?」
「朝の9時には家を出るつもり」


  先日貧乏な彼タナベ君が15回ローンを組んで買ったというスピーカー。
「私物は見つかると怒られる」と言っていたのだが、とうとうスタジオに持って行くらしい。
 バレンタインだし。
 本当に困ってるみたいだし。
 何より労力は私しかいないし……しょうがない。
 私は小さくため息をつき、務めて明るい声でそれじゃーと言葉を続ける。
「始発で行きます。そっち」
「よろしくー」


 ということで、5時すぎまで友達としこたま飲んだ後、始発でタナベ家へ向かう。
 そっと部屋に滑り込み、ドアをあけて様子を伺うとすうすうと彼は寝ているようだった。
 起こしちゃ悪いから、そっと横に転がろうと思うが、布団も毛布もない。
 あからさまな悪意を感じタナベ君の毛布を引っ張ると、ものすごい力で阻止される。
 どうやらタナベ君は起きていたらしい。
「不良が帰って「きた。不良だ!朝帰りだ!布団貸さない!」
 どうやら朝まで飲んでいたのがお気に召さなかったらしい。ぶうぶうと文句をたれる。
「てんめー…。あんたが手伝えって言ったから、眠い中、わざわざ自宅に帰らんとこっちへ
来てやったたんじゃろが!」
と叫びたくなるのをぐっとこらえ、どかっと相手に一発蹴り入れ、ほんの少し仮眠を取った。

「ふかみん。そろそろ起きて手伝ってください。遅刻しそうです」
 寝起きがめちゃくちゃ悪い私は、玄関の外から叫ぶタナベ君の言葉にぶうと膨れながらしぶしぶ起き上がる。

『おいおいまだ8時ちょいじゃん! 早ぇ〜よ!』 
と心の中でつぶやきながら、目の前にあるばかでかいダンボール箱に手をかけた。
 ずしりという嫌な手ごたえ。
 ……すんんんごく重い。
 そして恐ろしい事に、思っていたよりもダンボール自体の紙質はちゃちく、簡単に破けてしまいそうだ。
 これは。
…冗談ではなく、本当に落としてしまうかも知れない。
 嫌な汗が額を伝う。
「…タナベ君。これっていくらだっけ?」
 さらに嫌な事に、この段ボールは大きすぎてちびな私では、両手がまわらず抱える事はできない。
 もしも最悪落としてしまったら…と思って恐る恐る聞いてみる。
「15万」
 ぎゃー…。
精密機械だし、、絶対に落とせない。
15万で15キロのスピーカー。
 最近全くといいほど運動していない私は、二階の階段から下ろしただけで腕がブルブルと痙攣してきてしまった。しゃれにならない。

「落としそう…休憩していい?」
「いいよ。休憩しよう」

 お許しが出て涙が出そうになる。
(この休憩は万が一にもスピーカーを落とされたら困るからであって、断じて私を気遣ってではないと断言できる)。
 普通に歩いて10分弱。これを持ち上げ、休憩しながら行ったらどれだけかかるのだろう。
 想像しただけでくらっと眩暈がした。
 足で蹴飛ばしながら足で引きずったらだめだろうか。それがダメならお相撲さんになりきって「残った残った!」ってツッパリの要領で前へ押すとか。
 かなりの名案! 心がそちらへ動き、提案してみようとタナベ君を盗み見る。
 それはそれは大事そうにスピーカーを抱えている彼の姿を見て、冗談でもそんなことは言ってはならない事を悟った。
 口にしたら最後、悲しい別れにつながるかも知れない。
 それじゃあ。ちょっと先にあるローソンまで走って荷台をかっぱらって来ようか。。
 これはかなり名案な気がした。おそるおそる聞いてみる。
「タナベ君。私がやるからさ。もしコンビニに台車があったら、盗んできていい?
「…何ばかな事言ってんの」

 名案もあえなくおじゃんになってしまった。
 パジャマでへっぴり腰で自分より大きなダンボールを持っているのはおかしいらしく、大学生であろう若い人々の好奇な視線が突き刺さる。
 ああ、、恥ずかしい。
せめて服に着替えて化粧くらいすればよかった。
 だが後悔先にたたず。とにかくこのスピーカーをとっとと捨てなければ!そう決意した私の耳に、
「ここじゃだめかも。もっと先に行かないとタクシー拾えないかな」
というタナベの声が!
 これ以上さらにこれを持って人の多いところへ行けと!?
 ちくしょう、何のプレイだよ、それは!!
 タナベ君の言葉に耳を疑った。
「大丈夫。私がタクシーぶん捕まえる!」
 車道に踊り出て、何とか体を張ってタクシーをゲットした。
(タクシーのおっちゃんに怒られたけど)。
 あんなに早く出たのに時間はぎりぎり。
「それじゃー。ひと休みしたら秋葉にお使いよろしくね!」
 颯爽とタクシーに乗り込んだタナベ君と、大事な大事なスピーカー君たち。
 ああ…君たちの仕事ぶりにおいら期待しているよ。
 そしてスピーカー君。できればもう会いたくないよ。
 一人残された私は力なく、見えなくなった車に手を振り続けるのだった。

後日談:その後世の中はバレンタインなのに、私はひとり秋葉原にあるマニアーなオーディオショップを探し歩き、たった一本の螺子を探す旅に出たのでありました…。

HPより。サイト改装のためこっちに移しました。 2004のネタです

1 2 3 4 5 6 7 8